お客様の「美容のかかりつけ医」として信頼を築く
●必要なアイテムは最終的に「基本の4品目」へ
化粧品メーカーが商品を販売するスタイルと、
サロンが提供する化粧品のすすめ方には、
大きな違いがあります。
メーカーは「肌の不足部分を化粧品で補う」
という考え方がベースにあるため、
より高品質・高価格の商品を増やしながら
ラインナップを展開していきます。
その結果、お客様が使うアイテムは年々増え、
単価も上がっていく傾向があります。
一方、サロンで扱うエステ専売の商材は、
使い続けることで肌状態が整っていきます。
最初は肌に不足しているものが多いため、
しっかりと美容成分が入った化粧品を使い、
低いレベルから肌を育てていく段階が必要です。
ところが、肌が整ってくると、不足分が少しずつ減り、
補うためのアイテムも徐々に減っていきます。
最終的には、クレンジング・洗顔・化粧水・乳液という
「基本の4品目」だけで十分な状態に近づいていくのです。
この流れは、化粧品メーカーとは真逆のアプローチですが、
サロンの目的は、お客様の肌を根本から整え、
維持し続けられる状態に導くこと。
肌が若く健康なときは多くのアイテムを必要としないように、
本来の肌の力を取り戻していくプロセスなのです。
メーカーは常に新商品を出し続けますが、
その背景には広告費など多額のマーケティング費用があります。
サロンの化粧品は「肌をよくするため」に
厳選されたものを扱うため、
販売戦略の方向性そのものが異なるといえるでしょう。

●信頼関係を築いて「美容のかかりつけ医」になる
わたしが大切にしているのは、
お客様が抱える悩みを解決するために、
必要なアイテムを最初にしっかり使っていただくことです。
そのうえで、肌が育ち、状態が整ってきたら、
徐々に基本の4品目へ移行していく流れをお伝えしています。
「いまのお肌にはこれが必要ですが、
状態が整ってくれば使うアイテムは減っていきます。
負担も軽くなりますよ」
このように説明すると、お客様も将来のイメージを持ちやすくなり、
納得して前向きにケアを続けてくださいます。
また、肌の調子が下がったときには、
美容液を一時的に追加するなど、
必要に応じた提案をすることも重要です。
基本の4品目を中心にしながら、
そのとき必要なケアを柔軟にアドバイスすることで、
お客様も「相談できる安心感」を持てるようになります。
ここまで丁寧に関わり、
お客様一人ひとりに合わせた使い方をお伝えすると、
肌は確実に変化していきます。
その過程を一緒に歩むことで、
お客様との信頼関係も自然と深まっていくでしょう。
人が「かかりつけ医」に安心して通うのは、
自分のことをよく理解してもらえているからです。
サロンで働くわたしたちも、
お客様にとっての「美容のかかりつけ医」として
寄り添う存在を目指していきたいですね。


